宇高寛子(京大・院理)
生物は季節変化に対応する生理機構をもたなければ、子孫を残すことができない。そのため、日長や温度を手がかりとし生活史を環境変化に適合させていることが、多くの生物で知られている。チャコウラナメクジLehmannia valentianaはヨーロッパを原産とする中型のナメクジで、日本には戦後移入し、現在では北海道から沖縄まで広く分布している。しかし、チャコウラナメクジが日本のさまざまな気候にどのように適応しているのかは明らかになっていなかった。本講演では、野外採集や実験室での飼育により明らかになった、移入種チャコウラナメクジの生活史や繁殖時期を決める環境要因、温度耐性について紹介したい。